【散布代行事業者】北海道での農薬散布にドローンは有効か?
北海道十勝地方にてFLIGHTS-AGで農薬散布事業を行う合同会社Garden様と、『畑作でのドローン防除の最新事例を伝える体験会』を2020年1月24日(金)に帯広畜産大学で開催しました。Gardenのドローン担当の方が体験会の中でお話ししました、北海道でのドローンによる農薬散布について紹介します。
2019年の請負散布では、500町(約500ha)をFLIGHTS-AG 1機で行いました。1日平均25〜30町、繁忙期は日の出から日没までで最高40町/日を散布しました。麦(大麦・小麦)は雪腐病防除、豆(大豆・小豆)はハスモンヨトウの防除などを行いました。防除の効果については、【散布代行事業者】畑作(麦・豆・馬鈴薯)で紹介していますので、ご参照下さい。
散布代行事業は無人航空ヘリコプターとドローンどちらが良いのか?
北海道は面積が広いため、無人航空ヘリコプターでの空中散布が普及しています。ヘリコプターか、ドローンか、で比較した際に、私たちはドローンが適していると判断し、農薬散布ドローン「FLIGHTS-AG」を導入しました。
運用コスト
圧倒的な違いがコストです。初期費用が比較になりませんでした。無人航空ヘリコプターは、機体本体のみで1,200万円程。加えて年間の維持費が約300万円。ドローンはメーカー、機能により価格幅がありますが、ヘリコプターよりは断然コストが抑えられます。
作物へ与えるダメージ
作物へのダメージ要因になるのが、“ダウンウォッシュ”。ヘリコプターやドローンが浮上する際に発生する吹き下ろしの風のことです。これまで無人航空ヘリコプターでの散布も見てきましたが、ヘリコプターに比べるとドローンでの散布はダウンウォッシュによる作物のダメージが非常に小さいと思います。
馬鈴薯は、ダウンウォッシュによって茎が折れたり、葉や蔦にダメージが出やすく、ドローンで散布した際、ヘリコプターに比べてダメージが軽減されました。
さまざまな要望に柔軟に対応出来るか
圃場全体の散布もありますが、天候状況によって、水捌けが悪いこのエリアだけを散布して欲しい、という要望も多くあります。2019年は散布シーズンに雨が多く、雨が上がったタイミングなど、天候をみながら柔軟に対応することがドローンでは容易です。ヘリコプターは、費用面で共同使用の場合が多いため、細かな対応は難しいと思われます。
散布代行事業にFLIGHTS-AGを選んだ理由
ヘリコプターと比較した上で、ドローンの導入を決めました。数あるドローンの中で、FLIGHTS-AGに決めたのは、必要機能だけが備わっていて、使い勝手が良さそうと感じたからでした。
散布はM+モードで十分
実際、散布時に使っているのはM+モード*です。手動操作のため、安全確保が十分に行え、散布ムラが最小になるようなルートで飛行させることが出来ます。距離がある場合も、M+モードを使うと手動で航行させながら散布が自動で出来るので安心です。
*M+モード:正方形や長方形ではない圃場(台形など)の場合には、飛行は手動で行い、散布は自動的に行ってくれるM+モードを利用します。
障害物センサー、自動飛行が散布の妨げになることも
北海道は広大な平野と思われる方も多いと思いますが、圃場に防風林の枝が迫り出していることも多いです。障害物センサーが付いたドローンだと、枝を回避するため、圃場の端から6m以上散布出来なく場合もあります。
自動飛行機能のある農薬散布ドローンも枝は回避して散布するため、細かい散布調整が出来ないと考えます。
個別の相談が出来る
馬鈴薯は散布薬剤の量が多いため、吐出量の調整が可能かFLIGHTSに相談しました。こちらの要望を伝えたところ、個別で対応してもらうことが出来ました。対応してもらえなかった場合、必要量を散布するのに、ドローンを何往復、離発着も何回もしなければなりませんでした。実用のために、メーカー側が協力してくれる姿勢は頼りになります。
お問い合わせ:合同会社Garden garden.obihiro.dr@gmail.com
農業従事者の高齢化、減少に対し、農薬散布代行事業はますます需要が高まっていくと思われます。FLIGHTS-AGが農作業の効率化・省力化の一助となるよう、利用者様のご意見なども参考に、改善・改良を続けてまいります。
※本記事は、北海道畑作防除向け体験会レポートの後編となります。
実際の防除効果をご紹介している前編はこちらです。
【散布代行事業者】畑作(麦・豆・馬鈴薯)でのFLIGHTS-AG防除事例