FLIGHT-AGの導入事例がマイナビ農業様に掲載されました
こんにちは、FLIGHT-AG事業部です!
この度、農業情報総合サイトである「マイナビ農業」にてFLIGHT-AGのご利用者様インタビューを掲載いただきました。
山形県大江町の農事組合法人ファーム大江様の機体導入から大江町に農業用ドローンが浸透していくまでの経緯について語っていただきました。
ぜひ一読いただき、導入のご参考になれば幸いです。
https://agri.mynavi.jp/2023_07_28_232705
こんにちは、FLIGHT-AG事業部です!
この度、農業情報総合サイトである「マイナビ農業」にてFLIGHT-AGのご利用者様インタビューを掲載いただきました。
山形県大江町の農事組合法人ファーム大江様の機体導入から大江町に農業用ドローンが浸透していくまでの経緯について語っていただきました。
ぜひ一読いただき、導入のご参考になれば幸いです。
https://agri.mynavi.jp/2023_07_28_232705
北海道十勝地方にてFLIGHTS-AGで農薬散布事業を行う合同会社Garden様と、『畑作でのドローン防除の最新事例を伝える体験会』を2020年1月24日(金)に帯広畜産大学で開催しました。Gardenのドローン担当の方が体験会の中でお話ししました、北海道でのドローンによる農薬散布について紹介します。
2019年の請負散布では、500町(約500ha)をFLIGHTS-AG 1機で行いました。1日平均25〜30町、繁忙期は日の出から日没までで最高40町/日を散布しました。麦(大麦・小麦)は雪腐病防除、豆(大豆・小豆)はハスモンヨトウの防除などを行いました。防除の効果については、【散布代行事業者】畑作(麦・豆・馬鈴薯)で紹介していますので、ご参照下さい。
北海道は面積が広いため、無人航空ヘリコプターでの空中散布が普及しています。ヘリコプターか、ドローンか、で比較した際に、私たちはドローンが適していると判断し、農薬散布ドローン「FLIGHTS-AG」を導入しました。
圧倒的な違いがコストです。初期費用が比較になりませんでした。無人航空ヘリコプターは、機体本体のみで1,200万円程。加えて年間の維持費が約300万円。ドローンはメーカー、機能により価格幅がありますが、ヘリコプターよりは断然コストが抑えられます。
作物へのダメージ要因になるのが、“ダウンウォッシュ”。ヘリコプターやドローンが浮上する際に発生する吹き下ろしの風のことです。これまで無人航空ヘリコプターでの散布も見てきましたが、ヘリコプターに比べるとドローンでの散布はダウンウォッシュによる作物のダメージが非常に小さいと思います。
馬鈴薯は、ダウンウォッシュによって茎が折れたり、葉や蔦にダメージが出やすく、ドローンで散布した際、ヘリコプターに比べてダメージが軽減されました。
圃場全体の散布もありますが、天候状況によって、水捌けが悪いこのエリアだけを散布して欲しい、という要望も多くあります。2019年は散布シーズンに雨が多く、雨が上がったタイミングなど、天候をみながら柔軟に対応することがドローンでは容易です。ヘリコプターは、費用面で共同使用の場合が多いため、細かな対応は難しいと思われます。
ヘリコプターと比較した上で、ドローンの導入を決めました。数あるドローンの中で、FLIGHTS-AGに決めたのは、必要機能だけが備わっていて、使い勝手が良さそうと感じたからでした。
実際、散布時に使っているのはM+モード*です。手動操作のため、安全確保が十分に行え、散布ムラが最小になるようなルートで飛行させることが出来ます。距離がある場合も、M+モードを使うと手動で航行させながら散布が自動で出来るので安心です。
*M+モード:正方形や長方形ではない圃場(台形など)の場合には、飛行は手動で行い、散布は自動的に行ってくれるM+モードを利用します。
北海道は広大な平野と思われる方も多いと思いますが、圃場に防風林の枝が迫り出していることも多いです。障害物センサーが付いたドローンだと、枝を回避するため、圃場の端から6m以上散布出来なく場合もあります。
自動飛行機能のある農薬散布ドローンも枝は回避して散布するため、細かい散布調整が出来ないと考えます。
馬鈴薯は散布薬剤の量が多いため、吐出量の調整が可能かFLIGHTSに相談しました。こちらの要望を伝えたところ、個別で対応してもらうことが出来ました。対応してもらえなかった場合、必要量を散布するのに、ドローンを何往復、離発着も何回もしなければなりませんでした。実用のために、メーカー側が協力してくれる姿勢は頼りになります。
お問い合わせ:合同会社Garden garden.obihiro.dr@gmail.com
農業従事者の高齢化、減少に対し、農薬散布代行事業はますます需要が高まっていくと思われます。FLIGHTS-AGが農作業の効率化・省力化の一助となるよう、利用者様のご意見なども参考に、改善・改良を続けてまいります。
※本記事は、北海道畑作防除向け体験会レポートの後編となります。
実際の防除効果をご紹介している前編はこちらです。
【散布代行事業者】畑作(麦・豆・馬鈴薯)でのFLIGHTS-AG防除事例
北海道十勝地方にてFLIGHTS-AGで農薬散布事業を行う合同会社Garden様と、『畑作でのドローン防除の最新事例を伝える体験会』を2020年1月24日(金)に帯広畜産大学で開催しました。Gardenのドローン担当の方が体験会の中でお話ししました、畑作でのドローン防除について紹介します。
なお、北海道平野部でドローン散布を行う利点については、【散布代行事業者】北海道での農薬散布にドローンは有効か?の記事でお話しています。
2019年、私たちは十勝地方の畑作作物を育てている農家さんに協力依頼し、農薬散布ドローン「FLIGHTS-AG」での空中散布による防除の実証を行いました。無人航空ヘリコプターでの空中散布やブームスプレイヤーでの地上散布と、ドローンでの空中散布を比較してみたところ、防除効果が高い結果が得られました。また、例年に比べ、収量が増加したケースもありました。
あくまで私たちが行った実証の結果となりますが、ご紹介させていただきます。
麦は1日で約35町の散布が可能です。
アブラムシ類や赤カビ病を対象にした防除を、2回(6月中旬、7月上旬)に分けて実施。雪腐病防除は散布代行依頼があり、11月中旬に実施しました。
十勝エリアの小麦は、ヘリコプターでの空中散布が行われているため、空中散布で使用されている農薬の系統を鑑みて、ドローン散布での農薬を選ぶようにしています。空中散布登録されている農薬だけでは薬剤が足りない場合は、地上散布用の倍率で希釈して空中散布することが可能です。空中散布用の農薬と混用しても化学変化が起きづらい農薬を選んで使用したことで、防除効果が十分に得られたと考えられます。
北海道では、雪腐病の防除も重要です。病害として、大粒菌核病、黒色小粒菌核病、褐色小粒菌核病、紅色雪腐病という種類があります。対象病害に合わせて、シルバキュアやベフトップジン等を使い分けて効果的に防除を行うことが出来ました。
豆は1日で約25町の散布が可能です。
散布代行での防除はハスモンヨトウに行いました。
実証はアブラムシ類を対象に、ブームスプレイヤーを使用した地上散布と、ドローンでの空中散布を、試験エリアをそれぞれ設けて比較する形で実施しました。結果、アブラムシの防除効果はドローンによる空中散布の方が効果が見られました。私たちの考察は、ドローンのダウンウォッシュがアブラムシを吹き飛ばした上で、農薬を散布してくから効果が高められたというものです。詳細データは今後さらに収集していく予定です。
ドローン散布の課題としては、豆類は葉の撥水性が高いため、空中散布だけでは効果が出にくく、農薬の浸透移行性をどう高めるかが重要です。私たちは浸透移行性が低い農薬であっても、液剤の広がり方・着き方が良くなる手法を、農家の方々に協力いただき、展着剤を使用するなどして実現しました。この方法で、大豆に対しても防除効果を安定して得られるようになりました。
馬鈴薯は1日で約20町の散布が可能です。
ヘリコプターでの空中散布では、ダウンウォッシュ(浮上する際に発生する吹き下ろしの風)によって、茎が折れたり、葉や蔦にダメージが大きく、一方ドローンのダウンウォッシュではそこまでではないため、作物に与えるダメージが軽減出来ました。
ただ、ドローンであってもダウンウォッシュが同じ場所に何度も繰り返されると、作物が萎びてしまい、病気になったり、防除効果が十分得られなくなります。
馬鈴薯は10aあたり3.2ℓの薬剤散布が必要となるケースが多く、水稲基準の吐出量(0.8ℓ/分)のドローンで散布する場合は同じ箇所を何度も飛行させる必要があります。そのため、私たちはドローンの吐出量が調整出来るかFLIGHTSに相談し、対応してもらったことで、同じ箇所の飛行回数を減らすことが出来ました。
散布に必要な薬剤の量と、ドローンの吐出量は、機体選びのポイントの1つにもなると思います。
お問い合わせ:合同会社Garden garden.obihiro.dr@gmail.com
Garden様は、今回紹介した麦、豆、馬鈴薯のほかに、かぼちゃ、デントコーン、スイートコーンについても実証を行っています。ドローンでの空中散布が、十勝エリアの農作物に効果的かつ実用的に使えるよう、今後も農家の皆さまの協力もいただきながら、実証を続けていくそうです。
より多くの場面でFLIGHTS-AGをお使いいただけるよう、ご利用者様の意見なども参考に、改善・改良を続け、農業でのドローン普及に貢献してまいります。
※本記事は、北海道畑作防除向け体験会レポートの前編となります。北海道平野部でのドローン散布について話した後編はこちらです。
【散布代行事業者】北海道での農薬散布にドローンは有効か?
植物は肥料を使用することで生長が早まったり、果実が多く美味しく実るなど、農業において作物の品質を左右する重要な成分です。
一般的に、肥料は最初から土に混ぜ込む元肥と、後からまく追肥に大別されます。また、植物によって特に必要な成分などは変わりますが、植物を育てる時に必要な成分が3種類(3要素)あります。これらは必ず肥料には含まれている大切な成分です。
本記事では、まず元肥・追肥の二種類の違いと、植物に必要な3成分について解説します。その上で、家庭菜園において行う施肥(肥料を与えること)と、水田などの露地栽培で行う元肥・追肥について例を解説していきます。
元肥とは、植物の苗や苗木を植え付ける時などに、事前に土へ与えておく肥料のことをいいます。「基肥(きひ)」や「原肥(げんぴ)」と呼ばれることもあります。土に混ぜて耕す使用方法が一般的です。
植物の発育を止めずに元気に育つために施すので、すぐに効果を期待するための肥料ではありません。効果がすぐに現れない遅効性肥料や緩効性肥料を使用します。有機質肥料をよく使用するのも特徴です。
追肥とは、植物の生育状況を見ながら、不足した養分を補うために追加で与えていく肥料のことを指します。「ついひ」とも「おいごえ」とも読みます。
効果をすぐに期待するため、速効性のある液体肥料や化成肥料を使用することが一般的ですです。追肥の種類には、春先良い芽を出させることを目的にした「芽出し肥」、花を咲かせたり、実を収穫した後、弱った植物の体力を回復させるために与える「お礼肥」などがあります。
ポイント肥料切れの症状を見逃さないように気をつけて施用します。葉の色が悪くなったり、稲の場合新しく伸びた葉の色が黄色っぽくなったら、肥料切れを疑います。その他の植物だと葉や蕾が小さくなったら肥料切れのサインのため追肥を行います。
また、樹木など長い時間生育する植物には、遅効性で持続性のある肥料を使用することもあります。目的に応じた速効性肥料と緩効性肥料を使い分けが必要です。
植物の生育に必要養分のうち、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)は作物の生育にとって必要な量が多く、肥料として与えた際の効果が大きい特徴があります。そのためこれらは「肥料の三要素」と呼ばれます。
主に葉に影響する成分で、作物の生育と収穫量に最も大きく関わります。茎葉を伸長させ、葉色を濃くするため「葉肥」と呼ばれることもあります。観葉植物・葉物野菜特といった葉が中心の植物には特に窒素を与える必要があります。
窒素を過剰に与えると、逆効果で軟弱な育ちになり病害虫に負けやすくなります。また葉や茎だけ成長し果実や野菜部分への栄養が減り、収穫量が減ったり病気になりやすくなってしまうので肥料の与えすぎには注意が必要です。
リン酸は花や実つきに関係し、「花肥」や「実肥」と呼ばれることがあります。花や果樹などには特に必要な成分で、不足すると葉枯れや果実が熟れないといった生育不良や、果実が糖度不足で甘くないといった問題を引き起こします。日本の土壌はリン酸欠乏状態のものが多いので、積極的に施用されています。
リン酸を過剰に与えると逆に草丈が伸びなくなったり、生育不良が不足したり、『微量要素』と言われるその他の生育に必要な要素である鉄や亜鉛などの欠乏症に繋がります。
主に根の発育を促進する成分で、「根肥」とも呼ばれます。その他にも茎を育てるだけでなく、暑さ、寒さ、病気対する抵抗性を高めます。カリウムが不足すると根の伸びがなくなり腐ってしまうことが多くなります。
カリウムが過剰になるとマグネシウム、カルシウムの吸収を阻害します。カリウムは土壌にあればあるだけ作物が吸収してしまう性質がありますが、作物の要求量は窒素ほど多くありません。そのため過剰になりやすく、与える量には特に気をつけましょう。
肥料にはそれぞれ効果が現れるまでの速さや原料が違っています。まず、肥料は大きく分けて有機肥料と化成肥料に大別されます。さらに、ゆっくりと長く効き目のある肥料と速効性で吸収される肥料にそこから分類されます。
化学肥料は、科学的に窒素などを集めて肥料を作る方法で、空気中の窒素など無機物からできているのが特徴です。また鉱物や岩塩など、動物性以外のものを原料としています。最初から作物に必要な無機物の状態になっているので、水に溶けるとすぐに作物の根から吸収されます。そのため即効性が高いが持続時間が短いのが特徴です。
化学肥料の種類としては、まず前述した窒素、リン酸、カリウムがあります。割合を調整して混合させた化学肥料もあります。化学肥料は便利ですが、使いすぎると土に対して悪い影響もあります。有機肥料も織り交ぜて上手に使いこなしましょう。
有機質肥料は、動物や植物の堆肥などといった有機物を原料としています。動物の糞や、米ぬか、魚骨などをを微生物が分解することで肥料になります。
有機肥料には様々な種類があります。大豆などの油を原料とする油粕類、魚かすを原料とする魚粉類、動物の骨を原料とする骨粉質類などがあります。また有機肥料の中でも鳥の糞などを原料とする発酵鶏糞、草や木を原料とする草木灰は即効性が高いと言われます。
有機肥料の主な役割は、土への栄養補充・土壌改良と言われています。有機肥料は、土の中の微生物によって分解されることで、植物が吸収できる養分に変わります。そのため即効性はありませんが、効果が持続します。有機肥料は土の中の微生物の餌となることで、微生物を繁殖させます。農作物が育ちやすい土が出来るという特徴があります。
肥料には、ゆっくりと長く効き目のある肥料と速効性で吸収される肥料があります。一般的には有機質肥料はゆっくりと長く効果を発揮するものが多く、化学肥料は即効性の高いものが多いと言えます。
「元肥」には有機質肥料をよく使用します。元肥には効果がすぐに現れない遅効性肥料や緩効性肥料が適しているためです。油かす、米ぬか、草木灰、腐葉土、魚粉、骨粉、堆肥といった肥料を植え付けの際に土に混ぜ込むのが特徴です。
一方で、「追肥」には化学肥料を使用することが多いと言えます。植物に不足した養分を補うために与える肥料のため、効果がすぐに必要なためです。
ここまでの内容を踏まえて、たとえば追肥で化学肥料を使う際には、
このように、植物の成長段階に応じて必要に応じた施肥を行いましょう。
寒肥とは冬の寒い時期に、休眠期に入った植物に対して与える肥料のことを指します。寒肥は植物の成長を止めないようにするという目的で行うため、元肥の一つと考えられます。寒肥を行うと、春以降の植物の生長が良くなるという重要な効果があります。
この寒肥の仕組みとしては、冬の寒い時期は微生物の活動が鈍り、分解が遅くなっている点を利用します。時間をかけてじっくりと吸収されやすい形に栄養を変換し、春に植物が活動しはじめるタイミングで吸収されるように仕込みを行う効果があります。
芽出し肥は、春先によい芽を出させるために2月下旬~3月上旬頃に与える肥料です。樹木や宿根草、球根、秋まきの草花といった植物に与えます。通常、速効性肥料を施用します。
プランター栽培等で、固形の肥料・乾燥させた肥料を植物の根元当たりに置く肥料で、追肥の一種とされています。水をあげるたびに、肥料の成分が少しずつ溶け出て効果が現れる仕組みで、そのため効果が長期間持続します。有機質、無機質両タイプがあります。
お礼肥とは、開花期の終わりや果実の収穫後に与える肥料です。花や果実への感謝を込めて与える肥料とされていますが、消耗して弱った植物を栄養補給を行い回復することで、株の充実や樹勢を回復させる効果が期待できます。速効性の化学肥料を使います。
土に混ぜ込んで使う全面施肥と、植穴を掘って底に肥料を与える溝施肥があります。その際に、土と元肥の比率に注意し、根に元肥が達するタイミングを植物が育つ時期に合わせるように注意します。
使用する肥料は有機物になりますが、生育している植物に合った栄養素を与えることを心がけます。バランスよく混ざっている状態であればより効果があります。
追肥には、液状・粒状・固形状・スティック状など様々なタイプの種類の肥料があります。基本的には置肥として植物の根元付近に置きます。
ただし、株元に肥料を置いて与えてしまうと、肥料の過剰施肥になるだけでなく、根を傷める可能性があります。。株元から少し距離を離して置きましょう。
田んぼでの水稲栽培に関しても、田植えの前に施す元肥と、田植えの後に追加で施す追肥があります。また稲に必要な主な養分に関しても、まず主要なチッソ、リン酸、カリの三種類が挙げられます。その他にもマグネシウム、カルシウムなども必要です。
稲の一生は、大別すると2つの時期に分けられます。
最初は自分の体をつくる栄養生長期のための必要な養分を与える必要があり、これが元肥となります。後半からは穂を付けて実をを大きくしていく生殖生長期に切り替わります。そこで、後半の追肥では美味しいお米の粒を増やしたり、粒を大きくするための栄養を与えます。
肥料と水が豊富にあれば稲はどんどん伸びますが、伸び過ぎは逆効果です。例えば、背丈が延びすぎて葉に太陽が当たらず、お米を作る力が落ちます。その他、草丈が伸び過ぎると、倒れやすくなります。小柄でしっかりした稲を目指して肥料をコントロールします。
また、水田では水のコントロールできるという特徴があります。肥料が効きすぎで生長しすぎた場合には、水を落として田んぼを干し、稲が肥料を吸収できなくするといったことも可能です。
基本的には、元肥は4月末〜5月頭の耕起と代かきのタイミングで行います。トラクターで土で掘り起こして柔らかくし、固さを調整するタイミングで施肥を行う場合は、「全層施肥」として長期間の効果を見込めます。
近年は、元肥と追肥を一緒に兼ねた緩効性肥料である「元肥一発施肥」が普及し、元肥のみ1回だけの施用による栽培法が主流になりつつあります。
ただし、一発肥料は万能ではないため、気温が低いなどの理由により田植え後の生育が不安定になることは起こり得ます。その場合、一般の化学肥料を分けて追肥を行うのが基本です。
一発施肥を行ってない場合や、生育不良が見られる場合、7月頃に追肥の時期が始まります。肥料が不足している場合は、稲の葉の先から色が抜け落ちるため水田に色ムラが発生します。経験と勘が必要ですが、ここでタイミングを見計らってチッソを中心とした追肥を行います。
また、雨量にも気をつける必要があります。雨量が少ない時は追肥を多く、雨量が多く土壌水分が多い場合は追肥は少なくします。
いかがでしたでしょうか。
植物に必要な肥料は、植物の生育状況や気温・気候等によって変化します。また、家庭菜園での栽培や露地栽培、今回例として挙げた水耕栽培などでも変わります。
ただし、基本はチッソ・リン酸・カリウムの三種類の養分が必要という点は概ねどの植物でも変わりません。植物の生長に合わせて、適切な施肥を行い元気に育成を行いましょう。
参考:
図解でよくわかる土・肥料のきほん:一般社団法人 日本土壌協会
図解 知識ゼロからの米入門:家の光協会
有機肥料とは?化学肥料との違いについて:マイナビ農業
肥料の種類や使い方、使うタイミング【家庭菜園編】:LOVE GREEN
追肥とは?野菜に与えるタイミングややり方から、その効果まで解説!:暮らしーの
元肥ってどんな肥料?その種類や使い方、使う時期など詳しくご紹介!:暮らしーの
【元肥や追肥とは?】それぞれの肥料を施す時期と方法は?:HORTI
水田や畑に被害を与える有害生物には、病原菌や害虫の他に「雑草」があります。
雑草による作物の影響は病害虫ほど大きくありませんが、放っておくと一気に繁殖し、作物から水分、養分などを奪うため、品質低下など大きな被害をもたらします。また、病害虫の温床になるといったデメリットもあります。
防除の対象となる雑草の生育状況や特性をよく理解し、雑草に応じた対処法を考えることが必要です。今回は雑草の種類と防除用の農薬について説明していきます。
雑草には大きく分けて、「一年生雑草」と「多年生雑草」があります。
一年生雑草は、種子が発芽してから枯れるまでが一年間のサイクルです。それに対して、多年生雑草は地上に見える部分が枯れても地下の栄養繁殖器官が残っており、複数年にわたって生き続けます。
一年生雑草は地面から比較的浅い所で発芽するので、除草剤が効きやすいという特徴があります。また、深耕を行って土壌の表層と深層を入れ替えることで、浅い層にある一年草の種の発芽を阻害することができます。
雑草には別の系統があり、田畑の雑草は大別すると
この3つに分けることが出来ます。それぞれの系統に対応する特有の除草剤があるため、現在困っている防除の対象となる雑草の系統を把握することが重要になります。
また水田の雑草には、
この2種類があります。
水田雑草のほとんどは、水生雑草が占めていますが、水生雑草は地中に酸素がなくても発芽可能なため、相当に厄介な雑草だと言われています。
草のなかでも、文字通り防除しにくい目立つ雑草を意味します。難防除雑草には生態的な特性から多年生雑草を指す場合も多いですが、一年生雑草もあり得ます。
例えばオモダカ、クログワイなどの多年生雑草は、土壌中の『塊茎』という地下にある茎から、土中の深いところから発生します。このため、水稲の栽培期間に次から次へと発生し、防除が難しい雑草とされています。
この多年生雑草を効率よく防ぐには、効果が長く持続する除草剤を早めに散布しておくのが定石といえます。しかしながら、発生が多い水田などでは、通常の除草剤の一回散布のみでは除草しきれないことがあり、複数回の除草剤散布といった対策を行う必要があります。
最も代表的な水田雑草、かつ多大な被害を与える強害雑草に、イネ科の「ヒエ」があります。田んぼに生えるヒエには主に3種類があります.タイヌビエ、イヌビエ、ヒメタイヌビエなどがあり、総称して「ノビエ」と呼びます。ノビエの防除には有効な除草剤である「ヒエ剤」を使用します。
ノビエは除草剤が多く使われている現在でも、残草しやすい雑草の一つと言えます。水田では全国的にタイヌビエが発生し、暖かい地方ではヒメタイヌビエが多くみられます。最近はイヌビエも水田の中でも目立つようになりました。
ヒエがもたらす悪影響として、イネを追い越すほど大きく成長することで、稲の収穫量を減らしてしまうことが上げられます。極めて成長スピードが早いため、稲の近くに生えるヒエは稲の栄養を奪い取り、生長不順を引き起こします。ヒエの近くにある稲は、3m以上離れている稲と比較して、半分以下しか穂がつかない、粒が小さい、品質が低いといった害が発生すると報告されています。
また、ヒエはカメムシの温床になります。ヒエは成長が早いため、イネより早く出穂します。そのタイミングで斑点米カメムシ類が田んぼに侵入し、そのままヒエから稲に移動して吸汁、害を加えます。また、田んぼ内で産卵して繁殖を行うため、そのまま斑点米カメムシの被害拡大にも繋がります。
水田に発生する最も代表的な一年生広葉雑草であり、水田の強害雑草として知られています。生育スピードが早く、イネより早く成長してしまうため、分けつ期のイネや成長が遅れたイネの生育にダメージがあります。
分けつ期に養分を奪い合ってしまうことが多いので、生育初期からの除草剤による防除が重要です。最近は除草剤に対して抵抗性のあるタイプも出ているため注意が必要です。
クログワイ、オモダカは、土中の深いところに形成された塊茎から出芽します。そのため一つの塊茎から出てきた個体を防除しても、その年か次の年には同じ塊茎の別の芽が現れてきます。水稲の栽培期間を通じて次から次へと発生し、防除が難しい雑草です。
また、初期生育が旺盛で、除草剤によるダメージからの回復力が強い傾向があります。両種とも発生期間がだらだらと長く、除草剤の影響を受けづらいのが特徴です。一回の除草剤散布では完全に防除できません。
多年生雑草を効率よく防ぐには、効果が長く持続する除草剤を早めに散布しておく必要があります。ただし、一発処理除草剤を一回散布しただけでは除草しきれないことがあります。このような時には、後期剤の散布と組み合わせて数回に分けて防除を行うのが基本です。
イヌホタルイはカヤツリグサ科の雑草で、強害雑草とされています。
イヌホタルイの草丈は20〜60cmぐらいで、ノビエのようにイネよりも大きくはなりません。ですが、水田で密生するとイネと養分が競合し、イネの生育が悪くなり収量が減ります。
耕起や代かきといった方法で防除できますが、種子が小さくたくさん形成される場合があるため、除草剤を使用することが不可欠です。しかし、最近は今まで使用されていたスルホニルウレア系除草剤が効かないタイプが出始めており、防除が極めて難しい植物となっています。
水稲除草剤には除草剤が持ちうる能力を最大限に発揮できる適期があります。この時期を外して使用しても、雑草の取りこぼしが発生します。除草剤を使用する場合は、この使用適期をきっちり守る必要があります。
近年は温暖化により雑草の発生が例年より早くなり、いつもと同じタイミングで散布しても適期を外してしまい、雑草の取りこぼしが出てしまう事例が増えています。このため、確実に除草効果を得るために、雑草の発生状況をよく確認しましょう。
また、除草剤には枯らすことができる雑草の大きさに限界があります。限界を超えた雑草に除草剤を撒いても、残念ながら効果不足になるか取りこぼしの原因になってしまいます。雑草の生育速度を水田全体をよく観察して散布を行います。
最近の除草剤は多くの種類の雑草に効果がある性能の高いものがほとんどです。しかも、一回の散布ですむものが多くなっています。そのため、除草剤のラベルの適用雑草欄に、例えば「ホタルイ」と書いてあれば、従来であればどんな薬を使ってもその後イヌホタルイ等で困ることはありませんでした。
しかし、最近は薬剤に対して抵抗力を持つ除草剤抵抗性のイヌホタルイが増えてきています。そのため、「抵抗性のイヌホタルイ」に効果のある成分が入った除草剤を使う必要が出てきています。このように、雑草の除草はより困難になっています。
除草剤の種類は、有効成分だけでなく、使用時期によっても分類されます。
現在は、初中期一発剤が主流を占めています。
さらに、同じ名前の除草剤でも、剤型によってさらに分けられます。
初期剤は移植前から移植後間もない頃に使用する除草剤です。
初中期一発剤、または中期剤と組み合わせた体系処理で使用します。
初期剤は移植前の使用に登録がある剤は、散布してから移植まで7日間以上間隔を空けなければなりません。雑草発生量が多い、代かきから移植までの期間が長い、オモダカ等の発生が見られるといった圃場では初期剤の処理が必要です。
補足として、近年普及している田植同時散布は、早めの散布により安定した除草効果が得られる省力的な散布方法として初期剤・初中期一発処理剤の散布方法として確立されています。
ただし、田植時は苗が弱く、水稲にとって薬害の出やすい時期であること、残効の短い除草剤は残効切れで効果不足や雑草取りこぼしが発生する点に注意が必要です。そのため、後期剤等との組み合わせは必要になるケースが多くあります。
処理時期が早いものでは移植時から使用でき、ノビエにも効果があります。薬剤の残効が長いため、一度の処理で除草を済ませることができます。このように非常に省力なので、現在主流となっている除草剤です。
しかし、オモダカ、クログワイといった難防除雑草は、初中期一発剤のみの処理では防除しきれません。また、難防除雑草が発生する圃場で初中期一発剤のみの処理を毎年行い、その結果防除しきれず残った個体が年々増殖し続けて繁殖するケースがあります。
その他、通常はノビエなどの一年生雑草は、初中期一発剤のみの処理で防除が可能ですが、圃場に雑草発生量が多いと、効果が切れてきた頃に発生したものが生き残ることがあります。
初中期一発剤は万能ではないのでその他の除草剤と組み合わせて使用することが推奨されています。
後期剤は、中期剤散布以降に使用する除草剤と幅広い時期に散布する薬剤を総称します。
現代では初中期一発剤で防除を完了させることが主流になっていますが、ノビエ、ホタルイ、オモダカ、クログワイといった問題雑草は一度の散布では足りないことがあります。
例えば、
といったことが起こります。
そのため、ヒエ専用除草剤や、広葉・カヤツリグサ科専用剤などそれぞれ得意な草を現場に合わせて選定します。初期剤・一発処理剤との体系で使用することで、出穂以降の穂の品質や等級の低下を防ぐことができます。
このように、雑草防除には圃場の環境に合わせて初期剤、中期剤、後期剤と組み合わせた体系処理を行う必要があります。どんな雑草をどのタイミングで除草するかが非常に重要なので、雑草の防除を行う側はしっかりとした雑草の生態系への知識が必要とされていると言えるでしょう。
参考:
農薬取締法:農林水産省
農業をめぐる情勢:農林水産省
産業用無人航空機用農薬:一般社団法人 農林水産航空協会
水稲用除草剤の初期剤・初中期一発剤の上手な使い方:千葉県農林総合研究センター生産技術部
難防除雑草対策:みんなの農業広場 (一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ
ヒエが稲にもたらす悪影響:シンジェンタジャパン株式会社
水難雑草シリーズ ホタルイ:シンジェンタジャパン株式会社
【現場で役立つ農薬の基礎知識 2013】[2]水稲用除草剤の上手な使い方:農業恊同組合新聞
図解でよくわかる病害虫のきほん:㈱誠文堂新光社
ドローン総合サービス事業を行う株式会社FLIGHTS は、日本最大*の農業の総合展「第9回 農業Week」に、農薬散布ドローン「FLIGHTS-AG」と粒剤散布装置で出展します。 10月9日(水)〜11日(金)会場は幕張メッセです。
「FLIGHTS-AG」は、農薬散布に必要とされる十分な機能を搭載、安全性能を追求しながらも、低価格での市場提供を実現しました。ご利用者様からのご意見・ご要望を元に機能改善、拡充も行なっております。粒剤散布装置を9月より販売開始。液剤散布装置と粒剤散布装置がセットになった「FLIGHTS-AGダブルパッケージ」は、農薬散布、除草剤散布、追肥や播種と用途も広がります。加えて、安全にお使いいただくための講習、ニーズに応じたアフターサポートまでを揃えています。
出展ブースにて、展示、各種ご相談を承ります。
* 同種の展示会との出展社数の比較による(農業WeekHPより)
日 時:2019年10月9日(水)〜11日(金)10:00〜18:00 *11日(金)のみ17:00終了
場 所:幕張メッセ(千葉市美浜区中瀬2-1) アクセス方法
JR京葉線 海浜幕張駅より徒歩約5分
JR総武線・京成線 幕張本郷駅より「幕張メッセ中央」行きバスで徒歩約17分
ブース:No.28-22 株式会社FLIGHTS 会場MAP
*ご来場には招待券が必要となります。こちらの農業Weekオフィシャルサイトより招待券発行ください。
918,000円(税別)
セット内容:機体(液剤散布装置 タンク容量10ℓ)、粒剤散布装置、送信機、バッテリー2本、バッテリーチャージャー
820,000円(税別)
セット内容:機体(液剤散布装置 タンク容量10ℓ)、送信機、バッテリー2本、バッテリーチャージャー
108,000円(税別)
慶応3年(1867年)より、岡山県浅口市で日本酒を造る丸本酒造様。日本酒に使用する酒米は自家栽培。一般流通しない、こだわりの山田錦を自分たちで生産しています。FLIGHTS-AG導入の経緯、講習を受講されての感想、ドローン導入により出来た時間の活用について、丸本酒造 戸田さんと遠藤さんにお話いただきました。
今夏まで、動噴で散布を行ない、追肥は手で行なっていました。農薬散布の時期は、圃場周辺の草刈りと併せ、2人がかりで少なくても5日かかっていました。必要な作業とはいえ、人手を割くのが厳しい状況でした。省力化を図れないか考えていた中、春に出かけた農業関係の展示会で農薬散布ドローンを見て、検討をはじめたそうです。
ドローンについて全くの素人で、ドローンの飛行経験もなかったため、自分たちが普通に使えそう、という点でFLIGHTS-AGの購入に至りました。
「手が届く価格。農業参入は最近の会社とのことでしたが、ドローンの運用・飛行実績があったので。機体の安全性、講習・申請などのバックアップ、購入後のアフターフォロー体制まで揃っているので、良いのではないかと思い、決めました。」
「散布作業はどれもしんどい作業ばかり。薬剤も被るし、泥の中を進まないといけないし、身体的な負担がとても大きかったです。」
そこから解放されることが嬉しい、と頷くお二人。
「ドローンの操縦は最初緊張しますが、慣れてくれば楽しい。これからは薬剤を被るリスクを気にせず、泥汚れもせず、楽しく作業が出来るようになります。
速やかに使えるようにしたいと、展示会でドローンを見てから3ヶ月半で、講習受講までを終えられました。
FLIGHTS-AGの講習は、座学と実技の両方を受講いただきます。座学ではまず航空法を学びます。
「生きてきた中で、航空法に関わるようなことがなかったので、こんなに厳しいことに驚きました。ニュースで、ドローンを勝手に飛ばした人が検挙されたことを知るぐらいだったので、ドローンを飛ばしてはいけない場所があるんだな、ぐらいにしか思っていませんでした。」
ドローンを飛ばす上で関わる法律、申請した上で飛行させなければならないことなどを、手続き含め、きちんとご理解いただくことを、FLIGHTS-AGでは必須としています。ドローンの特長や使い方、農薬散布にあたって必要な知識まで一通り学べるため、ドローンが初めて、農薬散布ドローンが初めての方にも安心です。
「ドローンを飛ばしたこともなかったですし、ラジコンもやったことがありませんでした。」
自分とドローンが対面している状況で、ドローンの方向を変えるのは、左右が逆になるため、感覚をつかむまでは難しかったと言います。
「FLIGHTS-AGは機体サイズが大きいけれど、俊敏な動きはしないし、安定感がありました。」
実際に圃場でFLIGHTS-AGを飛行させてみると、奥行きの距離感を捉えられるようになるまで、圃場の端を行き過ぎてしまったり、手前だったりを繰り返し、練習を重ねたそうです。
講師を務めた石山からは、
「ラジコンも未経験、ドローンも初めてだと聞いていましたが、講習をきちんと受け、練習してもらったので、上達が早くて驚きました。飛行も安定していましたし、実務でもきっとうまく出来ると思います。」
ドローン未経験の方には、ドローンの操縦、動きに慣れていただくために、トイドローンでの練習を勧めています。
今夏の散布にドローンは間に合いませんでしたが、これから肥料散布に粒剤散布装置を早速使用されるそうです。
「今までは自分たちが田んぼの中を歩いて、手で肥料を撒いてました。撒く量も、どれくらいの間隔・ペースで撒いたかも、歩いているうちに曖昧になってしまって。今思うと撒きムラはあったと思います。」
FLIGHTS-AGで省力化が叶うだけでなく、一定量で均一で撒けるので、肥料の効果がきっちり出るようになるのでは、と期待が膨らみます。
ドローン1台で、液剤散布も粒剤散布も両方使えるため、時期に応じて使い分けが出来るようになりました。用途の幅が広がり、作業の効率化がさらに進みます。
「米作りは、自分の田んぼだけを世話すれば良いわけではなく、地域として、草刈りや整備も必要なんです。」
ただ、これまでは自分たちの圃場周りの草刈りまでが手いっぱいで、地域で共同利用している水栓(田んぼに水を張るためのもの)周辺の草刈りまでは、人手が割けず十分に出来なかったと言います。
「草刈りやってください、と言われても人手が割けなかったんです…。」
心苦しく思いながらも、労力がなくどうしようもなかったそうです。ドローンで作業時間が削減されるため、やっと周辺の草刈りも出来るようになります。地域の作業に人手が回せるようになるのも、FLIGHTS-AGを導入して良かったことだそうです。
加えて、
「出来た時間を、お米の品質を上げるための勉強や、その作業に充てたいです。」
お話しを伺って、散布作業の省力化だけでなく、丸本酒造の皆さんが本来必要としていたことが出来る一助に、FLIGHTS-AGがなることを教えていただく形となりました。
美味しい、こだわりの日本酒を造るため、真摯に取り組まれていることが丸本酒造さんのホームページでご紹介されています。オンラインでもご購入出来ます。
山形県西置賜郡で兼業農家を営む手塚さんが、FLIGHTS-AGを使って、水稲の防除作業を行ないました。これまでのラジコン動噴での防除作業との違いや、実際にFLIGHTS-AGで農薬を散布してみて気づいたことなど、率直にお話いただきました。 *講習、練習時は水を散布
この夏、防除作業が、これまでのラジコン動噴からドローンでの散布に変わりました。一番の違いは、
「朝夕でも暑い8月。防除作業が汗をかかずに出来ること。」
手塚さんがおっしゃる隣で、奥様も大きく頷きます。半自動モード(ABモード)だとあっという間、短時間で作業が終わり、汗をかかずに防除作業が出来たと言います。
手塚さんがドローンの操縦を行い、奥様がナビゲーターと呼ばれる、圃場の奥でドローンの飛行距離や間隔を伝えたり、安全監視をする役を担っています。
「まだ、阿吽の呼吸の域には達していないから、ドローンを停止する位置を伝えてもらうタイミングも練習が必要。」
FLIGHTS-AGの講習、練習の際は、農薬の代わりに水を撒きます。そのため実際に農薬を撒くと、機体を止めても薬剤が慣性の法則で思ってた以上に飛んでいくため、停止位置をもっと手前にした方が良いことがわかったと言います。
練習から実際の散布と、奥様と二人三脚で経験を積み、操縦が上達しているのがわかりました。このままいけば、阿吽の呼吸になる日も近い気がします。
これまでの動噴での防除作業は最低3人必要でした。
「3人でもきつかった。」
息子さんが毎回手伝ってくれていたため、手塚さんの所では人手確保が出来たものの、子供が離れて暮らしていたり農家を継いでいない場合、夫婦2人では、第三者に依頼しなければなりません。人手の確保から大変で、3人揃っても防除作業は毎回きつく大変だったそうです。
FLIGHTS-AGでの防除作業は、
「2人で出来るし、作業自体ぐっと少なくなったので、すごく楽になりましたよ。」
奥様も
「今までの動噴での作業を思うと、本当に楽。」
ご家族の負担が減ったからか、8月頭の暑い日に、お二人が1日の作業を終えるところでお話を伺ったにも関わらず、手塚さんも奥様も朗らかな笑顔でした。
FLIGHTS-AGで練習や作業をしていると、近所の方だけでなく、通りがかりの車の方も見に来るそうです。
「まだまだこの辺では珍しいので、ドローンが飛んでいるだけで、みんな見に来ますよ。」
たまに、ナビゲーター役の奥様と作業中に大声でやり取りしていると、見に来た方がびっくりしていくこともあると笑ってお話くださいました。ご夫婦だからこその、信頼のやり取りのようなのでどうぞご安心を。
本来、水田の防除作業前に、水田周辺の畦畔の草刈りをするのが理想的です。ただ、ラジコン動噴では畦畔の防除作業が難しく、防除していない草を刈ると虫が飛散してしまうため、思うように草刈りが出来なかったそうです。ラジコン動噴を持って自身が歩く場所が畦畔になるため、自分の足元に農薬を散布することが不可能でした。
「ドローンでの散布は、畦畔の防除作業も出来、時間・労力も短縮出来る。防除してあれば虫の飛散も心配ないし、草刈りに時間と労力がまわせるのもメリットだと気付きました。」
今までやりたくてもなかなか出来なかったことが叶った、と嬉しそうな笑顔が印象的です。
*畦畔(けいはん):あぜ道のこと
FLIGHTS-AGを発売し、初の防除時期を迎えました。農作業の現場でご利用いただき、これまで多くの労力・時間がかかっていたこと、理想通りには作業出来なかったことが、FLIGHTS-AGで出来るようになった、導入して良かった、という農家の皆さまからの声が届くようになりました。農業事業部一同、大変嬉しく感じると共に、もっとこうして欲しいというご要望にも順次対応し、FLIGHTS-AGが農業の一助を担っていけるよう努めてまいります。
水稲作での農薬散布は、雑草の管理と病気・害虫の防除の2つが挙げられます。日本は高温多湿な気候もあり、水稲の栽培では古くから病気・害虫との共存を行わなければならない環境でした。
発生する病害虫の種類も多種多様であり、農薬の使用量も世界的に見て高い水準にあると言えます。本記事では、一般的に水稲栽培において米農家が注意を払っている病気・害虫について主要な種類の病害虫を紹介していきます。
いもち病は水稲栽培において最も大きな被害を発生させる病害です。
糸状菌(かび)が引き起こす病害で、25℃~28℃の温度帯と高湿度を好みます。
水滴を経由して感染するため、梅雨など稲体に水滴が付着する時期が長時間続くときに多く発生します。
病斑ができてからも、大量の胞子を飛散させるには高い湿度が必要であるので、蒸した気候が長期に渡って続くときに蔓延します。
いもち病は、苗いもち、葉いもち、穂いもちと水稲のどの時期にも発生して長続きします。そのため被害が大きくなりがちです。
葉に発生するいもち病で、白点、褐点、慢性および急性の4タイプがあります。葉いもちでは、病斑に葉がやられて生育が抑制され、悪化すると新しい葉も出すくみ状態となります。この状態になると、もはや収穫まで出来なくなります。
穂いもちでは、穂首部に褐色の病斑ができす。すると首から先の穂に栄養が届かなくなり、品質が低下します。養分供給が阻害されたことにより、稔実不良や着色米の発生、籾の入らない白穂が発生します。
稔は出穂後の早い時期ほどいもち病に感染しやすいという特徴があります。また、葉いもち病班は穂いもちの伝染病として進展するので、まず、葉いもちを多発させないように気をつける必要があります。
稲の病気として次に有名なのが紋枯病です。この病害も糸状菌(かび)が引き起こしますが、いもち病とは違う種類のかびです。
最初は稲の水際の茎葉部に病斑をつくります。それが徐々に病斑が上へと伸びていき、葉まで達することがあります。そこまでいくと、収穫に被害が出始めます。また、茎葉が病斑によって弱まり倒れやすくなるので、背の高いコシヒカリ等の品種はより注意が必要です。
その他の稲の病害菌には、近年発生が多くなっている稲こうじ病やごま葉枯病、細菌が原因の白葉枯病などがあります。
気候や地域によって発生状況が異なるため、地域の発生予測情報に気をつけましょう。
この病害も糸状菌(かび)が引き起こします。
出穂期以降に発症することが多く、葉に暗褐色の楕円形のような病斑が現れ、まわりに黄色くぼんやりした色が出ます。暑い夏に雨が多いと多発し、水田では下の葉から上の葉へと発病が進みます。
土壌に窒素やカリが不足している時に発生する事が多いため、老朽化した水田に多い。また養分保持力の地裁浅耕土や、砂質の土壌の「秋落田」にも多い。
発症が進むと稲の圃場全体が土色に見える「穂枯れ」の症状が起こるのが特徴で、そのまま稲全体が枯死します。
害虫は、植物への被害の与え方によって大きく2つのグループに分けられます。
また、被害部位も3通りに分かれます。
この前提でそれぞれ害虫を見ていきます。
カメムシは、水稲栽培における吸汁性害虫の代表であり、穂にダメージを与えます。
被害を与えるカメムシは「斑点米カメムシ」と呼ばれます。
稲穂が出たばかりの頃にカメムシが米粒の汁を吸うと、吸われた部分が黒く変色します。日本では、こうした「規格外」に分類されるお米が1000粒に2粒入っているだけでお米の取引価格が大きく下がるため、農家さんもカメムシ防除には必死です。にも関わらず、各地域で深刻なカメムシ被害は後を断ちません。
日本で散布される農薬の有効成分で最もポピュラーである「ネオニコチノイド系農薬」もカメムシの防除を目的に使用されることが多いです。
ウンカもまた吸汁性害虫の代表であり、主に茎葉に被害を与えます。
セジロウンカ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカなどが有名です。
ウンカは稲の葉や茎から汁を吸って枯らしてしまうため、田んぼの一部にぽっかり穴が空いたように稲を枯れることがあります。繁殖力が旺盛で、田んぼを全滅させることすらあります。
ウンカは寒さに弱いため、冬になると日本からいなくなります。しかし、ウンカはアジア大陸で冬を越したあと毎年6月から7月に梅雨前線の気流に乗って飛んできます。そのため、西日本に発生することが特に多く、現在も増加傾向にあります。
また、特にヒメトビウンカのようにしまはがれ病を中心とした病原菌を運んでくる問題もあります。ウンカは収穫期にイネを枯らしたりウイルス病をうつすため、きちんと防除しないとコメの収量が大きく減少することになります。カメムシと並んで注意が必要です。
イネミズゾウムシは食害性害虫であり、葉と根に食害を与えます。
まず、成虫と幼虫ともにイネの葉に被害を与えます。被害を受けた葉はのちに短冊状に裂けます。また、幼虫は孵化すると土壌中に入って根も食害するため、イネの生育を悪くします。
成虫は5月下旬~6月上旬頃にイネの葉鞘に卵を産み付けます。この頃が成虫と幼虫の防除に最も適した時期ですので、防除適期を逃さないよう、イネミズゾウムシの幼虫はふ化して土壌に潜る前に防除を行いましょう。
イネドロオイムシは葉への食害を与えます。
年1回の発生で、草むらで成虫の形のまま越冬し、5月下旬頃に本田に集まって産卵を行います。成虫と幼虫による葉の食害があると、初期生育の遅れをもたらします。稲が成長すると、穂が短くなる、粒数が減る、稔実が悪くなる、米の質が落ちるといった問題が発生します。
5月上旬から6月に低温が続き、多雨で湿潤の日が多いと発生が多くなります。
コブノメイガも葉への食害が特徴です。
鱗翅目メイガ科に分類される「蛾」です。
ふ化した幼虫は稲の葉肉を食害します。食害部分が白くなるのが特徴です。多発生した場合は、圃場全体が白く変色し、大きく収穫量が減ります。
7月〜9月までの期間稲を加害しますが、上位葉から止葉までの葉肉を食害し、登熟に影響を与えます。未熟粒が増えることで大きな減収につながります。
トビイロウンカと同様に、コブノメイガも東アジアから気流に乗って飛来します。そのため、西日本での被害が深刻であり、九州では7〜9月にかけて3世代のコブノメイガが月ごとに食害するため被害が深刻になりがちです。
ここで紹介した種類だけでなく、地域ごとに合わせて多発する病気や害虫の種類は変わります。地域の病害虫の発生予測情報等をチェックし、必要な防除対策を行いましょう。
参考:
水稲栽培のポイント:農林水産省
水稲栽培の基礎知識
水稲栽培の手引き
いね いもち病
病害虫図鑑:JAあいち経済連
トビイロウンカ、コブノメイガの生態と防除対策:シンジェンタジャパン株式会社
図解でよくわかる病害虫のきほん:㈱誠文堂新光社
稲の一生は、大別すると2つの時期に分けられます。
そして、さらに細分化すると以下のようになります。
『苗作り』のタイミングです。
水稲栽培にとって「苗半作」という言葉があるほど非常に重要です。
苗代で育てる苗の良否が、田んぼでの生育や最終的な収量を左右します。
具体的には、以下のようなことを行います。
育苗箱に種籾をまくと、2〜3日後に発芽して生育期となります。
これをハウスの中で育成するのですが、20〜25日後には15cmほどの大きさに成長し、苗期となります。
またハウスで育苗を行っている間に、水田に田植えを行う準備をします。
田んぼと苗の準備が終わったら、田植機で苗を植えます。
2〜4本で1株にまとめた苗を、15〜20cm間隔で植えていきます。
植えられた苗は、成長して根元から新しい茎が現れる「分けつ期」に入ります。
この田植え直後の時期は初期管理が重要です。
主に以下の4つの作業を行います。
田んぼの水は、稲の生育状況に合わせて水の深さを変えています。
例えば、分けつ期の後半には土中に酸素を送り込むために完全に水を抜くなどの調整を行います。
主に除草剤を散布します。
この時期に散布するのは、移植前後に散布する初期除草剤や、移植直後から移植後15日位までに散布する一発処理除草剤、移植後20~30日位に散布する初中期除草剤が該当します。
※ ドローンで除草剤の散布を行う主な時期は6月頃になります。
また、取りこぼした雑草を茎葉散布で防除する後期除草剤も必要であれば散布します。
特に梅雨に入ると温度や湿度が高く蒸し暑くなるため、病害虫の発生が多くなります。この時期から、稲の代表的な病気であるいもち病(葉いもち)の発生が始まります。
殺菌剤の基本は圃場全体への予防散布であり、殺虫剤の基本は発生初期の防除です。異常が発生する初期のこの時期に散布を行います。
数回に渡り、チッソやリン酸、カリ肥料を生育に合わせて加減しながら与えます。
この時期の最初は自分の体を作る栄養生長期ですが、後半からは穂を付けて実をを大きくしていく生殖生長期に切り替わります。
後半の追肥では、美味しいお米の粒を増やしたり、粒を大きくするための栄養を与えます。
分けつ期を過ぎると、茎のなかで穂の赤ちゃんを作る準備をします。これを幼穂形成期と言います。
また、幼穂がしだいに大きく成長し、穂が出るまでの間を穂ばらみ期といいます。
これらの時期は約25日間ほど続きます。
出穂期に入る2週間ほど前から、水稲の天敵である斑点米カメムシ類がエサを求めて水田に侵入を始めます。
カメムシのストロー状の口で汁を吸われた米は「斑点米」という黒い米になります。
斑点米が発生すると米の「等級」が下がり、市場価格が下がるため農家にとって重大な問題になります。まずは発生前の防除が大切なため、この時期にカメムシの防除を目的とした草刈り等の除草を行います。
ヒエのような雑草が多く残っている水田はカメムシの発生が早くなるので、除草を行います。出穂10日前までには除草を終わらせておくのが通例です。
穂ばらみ期から出穂期にかけて発生が始まる、『いもち病』と『紋枯病』があります。
『いもち病』は葉いもち病から進展するため、葉いもち病の段階できちんと対策を行えば、穂に症状が出てくる『穂いもち病』の発生は低く抑えられます。しかし、葉いもち病の対策を怠ったことで『穂いもち病』の発生が始まっている場合は早急に防除が必要になります。
またこの時期には『紋枯病』の発生が考えられます。その際には『いもち病』『紋枯病』を同時に防除出来る薬剤での散布が有効となりますので、防除を行います。
その際に、降雨量による湿度が病害菌の発生に大きく影響します。雨の合間をぬっていもち病や稲こうじ病など、病害菌の防除を行いましょう。
茎の中に穂ができ始めるころから、葉の色が淡くなってきます。穂の数や茎の中の籾数を増やしたり、実るまでちょうど良い葉の色を保たせるために追肥を行います。出穂の20~25日前ころにチッソ、リン酸とカリ肥料を生育に合わせて加減しながら与えます。
茎から穂の先端が少しでも出ていることを出穂といいます。この時に出る穂は淡緑色です。
出穂した穂が、水田全体で40〜50%に達した時期を出穂期といいます。出穂が始まってから、出穂期までは通常2〜3日を要します。
この緑色の穂には小さな花がつきます。
花に受粉が終わると、米粒を太らせる登熟期になります。
穂が作られる時期から出穂・登熟期間にかけては水を多く必要とします。稲は、これまで茎葉で蓄えてき た栄養を水に溶かして穂に送り登熟するためです。
また、「間断潅水」という、3~4日掛けて水を入れ、2~3日掛けて水を抜く作業も行います。これは土壌中に酸素を供給し,根の発育を促進させるために行うものです。
出穂してから約30日後、稲刈りの約10日前には「落水」という田んぼの水抜きを行います。水を落として、稲を乾かすことにより登熟を完了させるのが目的です。また、土を乾かすことにより、コンバインの走行性の安定など、稲刈りの作業がスムーズに行えるようにします。
出穂期に発生するカメムシの防除のため、出穂後10日頃に殺虫剤を散布します。また、ウンカ類、ツマグロヨコバイ等の防除も目的としています。同様に、出穂後24日頃にも2回目の散布を行います。
また、葉いもちが多発している圃場などが近くにある場合は、穂いもちへの発展を防ぐために出穂期〜7日後までに散布を行うこともあります。
出穂後、35日ほど経つと、穂が垂れて黄色くなります。
このタイミングで収穫が可能です。
この際に重要になるのは収穫適期の見極めです。収穫適期は、品質・収量・食味の全てに重要なポイントとなります。品種ごとの出穂後日数や気温、籾の黄化率、水分等で判断を行います。
また、収穫作業は天候等に左右されて作業に余裕がなくなる等の事態が発生します。事前の作業計画の作成といった準備が重要です。
収穫された籾は「生き物」であるため、保管状況に気をつける必要があります。そのままの状態で長時間放置しておくと、「変質米」の発生は品質低下などが起こる可能性があります。
いかがでしたでしょうか。
地域の気温と気候によって米の成長時期や病害虫等は変化します。今回は代表的な東北〜関東にかけての気温を中心に話を進めましたが、北海道や西日本エリアは時期が前倒しや後ろ倒しになります。
その地域に合った伝統的な栽培に合わせて、水稲栽培を進めて頂ければと思います。
参考:
・水稲栽培の基礎知識:関川村役場
・水稲栽培の手引き: 大阪府立環境農林水産総合研究所
・水稲栽培とは よくわかる水稲栽培:株式会社せいだ
・【現場で役立つ農薬の基礎知識2018】水稲の本田防除 計画的予防散布で確実に防除:農業組合新聞
・【現場で役立つ農薬の基礎知識2018】水稲の本田防除 計画的予防散布で確実に防除:農業恊同組合新聞
・主な水稲殺菌成分の特性一覧:農業恊同組合新聞
・主な殺虫成分と適用害虫:農業恊同組合新聞
・斑点米カメムシを防除して良質な米作りを!:バイエルクロップサイエンス株式会社
・稲と米:地球資源論研究所
・No.5 農業技術情報 いもち病・カメムシ対策に厳重警戒を:仙北地域振興局農林部農業振興普及課