バサグランを解説!水稲除草剤の種類について
バサグランとは?
バサグランは成分にベンタゾンを含む除草剤で、難防除雑草に高い効果を示す選択制の除草剤です。最も普及している『バサグラン粒剤』は、有効成分としてベンタゾンを11.0%含んでおり、『バサグラン液剤』は40.0%含んでいます。
生育期の雑草に高い除草効果を発揮し、散布適期も広いため確実に防除を行うことができます。雑草の発生を見てから散布を行うことができるため、非常に使いやすい除草剤です。
特定の植物にだけ作用する選択性の除草剤であるため、圃場にも安心して使用可能です。
特長と使われ方
特に多年生雑草に優れた効果を発揮しますが、特に『難防除雑草』に高い効果を示すのが特徴です。
クログワイ、オモダカ、コウキヤガラといった雑草に効果的であり、抵抗性のホタルイなどにも作用します。水稲では主に中・後期除草剤と使用され、中干し以後にしぶとく残っている雑草を後期剤として除草するといった使い方をします。
注意するべき点としては、イネ科の雑草には効果がないことが挙げられます。
そのためイネ科雑草に効果のある初期除草剤、中期除草剤または一発除草剤との組み合わせによる体系除草を行います。
より具体的には、田植前後の土壌処理除草剤で一年生雑草を防除した後、多年生水田雑草および一年生広葉雑草の防除を目的として使用してください。
水田での使われ方
水田での水稲栽培では、液剤粒剤ともに、移植水稲の場合移植後15~55日までが使用適期となっています。
バサグランは水の移動に伴う移行性が大きいという特徴があります。そのため、一般に水深の浅いほど効果が安定します。
使用にあたっては落水状態にして水の出入りをとめ、ムラないように均一に散布すると効果的です。漏水のない水田で可能な限り浅水状態(雑草が水面上に出ている状態)にして散布するのがコツです。
散布後は最低3日間はそのままの状態を保ち、入水、落水、かけ流しといった作業は行わないよう気をつけましょう。降雨があったとしても、一週間は落水しないでください。
バサグランは生育期に入った雑草に効果がありますが、特に多年生雑草は散布する生育のタイミングによって効果が変わります。必ず適期に散布してください。
空中散布の可否
今現在、バサグランを含むベンタゾンを有効成分とする除草剤で、農林水産航空協会より空中散布が許可されている薬剤はありません。
バサグランは未許可ですが、水稲栽培におけるクログワイといった難防除雑草の除草には、中期剤の『アクシズMX』や『イッテツフロアブル』といった無人ヘリやドローンで散布が可能な許可済みの除草剤がいくつもあります。
手動での散布にするか、広域でのドローン等を用いた散布にするかといった用途を考えて、適切な除草剤の選択を行いましょう。
参考:
産業用無人航空機用農薬:一般社団法人 農林水産航空協会
BASFB:ASFバサグラン®液剤 (ナトリウム塩)
日本農薬株式会社:日農バサグラン粒剤(ナトリウム塩)
GREENJAPAN:バサグラン粒剤
Syngenta Japan:難防除雑草「クログワイ」の生態と防除